自分の人生を活かした仕事がしたいと思う人は多いでしょう。日本では女性や外国人、障害者、LGBTなど様々な人が働ける環境構築に向けた取り組みが進んでいます。
そんな中、大手通信会社の「ドコモ」は「誰もが生きやすい社会」を築くために、暮らしに寄り添ったサービスやCSRに力を入れているようです。今回はドコモが描く「自分の人生を活かしたい」と思える職場についてご紹介しましょう。
ドコモに興味を持ったキッカケ
Youtubeでは「ForONEs 2017」という動画広告が公開されています。これはドコモのCSRの一環で制作された動画で、大勢の人が文字の書かれた重ね着のTシャツを脱ぎ棄て、自分の属性を解放していく演出がされています。
Tシャツには「モデル」や「アルバイト」、「シングルマザー」などが書かれ、様々な属性の人が出演しています。出演者の中には義足モデルのGMICOさんやトランスジェンダーの澤岻良心さんも映っていました。映像の最後には「世界は、ひとりの複数形でできている。」と表示され、人類は多種多様であることを伝えています。多種多様の人々が暮らす世界だからこそ、誰もが平等に暮らしていける社会づくりが求められます。この動画広告をきっかけにドコモが描く仕事や社会に興味が生まれました。
ドコモのダイバーシティに対する取り組み
ドコモは携帯電話やスマートフォンをメインに人々の暮らしに欠かせないサービスを展開しています。誰もが使う可能性があるサービスを扱う企業だからこそ、様々な人が生きやすい社会づくりに貢献する気持ちが強いようです。
そこで誕生したのが「ダイバーシティ推進室」です。ダイバーシティとは、年齢や性別、人種、信仰などにこだわらず、多様な人材を活用していく考えを指します。ドコモがダイバーシティに取り組む理由は、新しく生まれた価値を顧客に提供することが目的です。それを実現するためには、多くの人が自分の力や人生を活かす必要があります。上記で紹介した広告動画もそれを伝えるために作成したようです。ダイバーシティ推進室自体は2006年からすでに発足されていました。当時は女性のキャリア開発やワークライフバランスの推進がメインだったようです。
しかし、時代の変化に合わせて現在は障害者や外国籍、LGBTに対しての理解推進、介護と仕事の両立など、取り組みの幅も拡大しています。具体的にどんな取り組みをしているのかご紹介しましょう。
・セミナーの開催
過去には社員向けに障害を持つ社員を演説者としてセミナーを開きました。そのセミナーには障害を持つ社員だけではなく、その上司やセミナーテーマに関心を持つ社員が参加したようです。セミナーを通じて多くの社員は障害者のハンデを理解するきっかけとなりました。また、今まで遠慮して話せなかった障害持ちの社員ももっと主張した方がいいと気付かされた人は多かったようです。
・コミュニティの形成
誰もが働ける環境づくりには社員同士の連携が重要です。ドコモでは社内コミュニティを発足し、障害を持つ社員のサポートや理解を深めるための情報交換が行われているようです。つながっているのは障害を持つ社員をはじめ、サポートに関わりたい健常な社員、もっと障害に理解を深めたい社員です。社内のイントラネット上にメーリングリストを作成し、そこで情報交換が行われています。最近はLGBTの社員へのサポートに力を入れている様子です。LGBTを支援するアライを中心にコミュニティを発足し、SNSを通じた情報発信や意見交換をしています。
また、LGBTに関するハンドブックを用いイーラーニングを実施し、LGBTの働き方に対する理解や関心を高めています。
このような取り組みはダイバーシティ推進室だけではなく、社員自体の意見も反映されて実行されるケースが多いようです。その結果、取り組みの幅も拡大していったのでしょう。当事者ではないので完全な理解は難しいですが、社員の意見に耳を傾け、良い方へ向かうように職場改善に務めていることが分かりました。
障害持ちの社員はドコモでどう働いている?
ドコモでは障害者やLGBTなど多様な人々が働いています。では、障害を持つ社員の方はどんな働き方をしているのでしょうか?
・工夫を凝らして業務を遂行
先天性の上肢障がいを持つ女性社員は、手に負荷がかかる作業に時間がかかってしまいます。そのハンデをクリアするために、色々と工夫して仕事をこなしていました。例えば、パソコンで文字を打つのが遅くなってしまうので、使用頻度の多い文章やキーワードを単語登録しているようです。女性社員は元々、「障害を持っていても極力自分でできるようにしなければならない」という意識が強くありました。しかし、ドコモに入社し、組織の中で働く中で考え方に変化が起きます。社員に「どこまで自分でできるのか、逆に何をしてほしいのか、それを確認してもいいか戸惑う」と言われたそうです。そこで、自分のできないことやお願いしたいことははっきり主張するべきと気付きました。今でははっきり主張したおかげで、周りの社員も自然と女性社員が困りそうな事態を察知し、フォローできている様子です。
・特性を活かした価値づくり
聴覚に障害がある女性社員は、自身の特性を活かして新しい価値づくりに貢献していました。その女性社員はセキュリティ管理やシニア・障害者向けサービスの企画を担当しています。視覚障害者は音が聞きとれないため、相手を理解するためには文字に起こす必要があります。そこで彼女が発案したのは「みえる電話」というサービスです。これは電話の通話相手の会話をテキストに変換し、内容を文字で見れるサービスで、女性社員自身のコミュニケーションでの苦労を基に生まれました。電話やマイクを通すと音声は劣化してしまい、補聴器をつけていても聞き取りにくい欠点がありました。そこでみえる電話を使用することで、視覚情報から話しの内容を理解し、スムーズなコミュニケーションを実現できます。新しい価値を創造した女性社員ですが、他の社員と平等に働き続けるために自分から声を上げることを意識しているようです。例えば、人数が増える会議ではアプリを使っても話しを理解できない場合が多く、また周りも協議に集中するので女性社員の様子に気づきません。最初は声を上げられなかった彼女ですが、数年かけてやっと困った時に自分から声を上げられるようになりました。障害も一つの個性と考え、自分の強みや個性を受け入れ、仕事に反省させているようです。
自分の個性や人生を活かせるドコモの文化
ドコモで自分の個性や人生を活かして働ける理由は、企業の文化が大きく影響していると考えられます。元々、全ての社員が自分の意思でチャレンジすることをサポートしたいという思いがドコモ全体にあります。困っている人のサポートだけではなく、普段のコミュニケーションやセミナーを通じて社員自身から声を上げるスタンスを重要としています。その企業文化や雰囲気を作るために、社内外に社員の姿や取り組みを発信する工夫をしているのです。また、ドコモは経営理念に「新しいコミュニケーション文化の世界の創造」を掲げています。顧客はもちろん、社員同士のコミュニケーションも大事にしていることが、誰でも自然体で働くことにつながっているようです。
ドコモでは積極的に多様な人材を採用し、また社員同士がフォローし合える環境化で活躍していることが分かりました。障害者やLGBTなど、社会からの偏見のせいでハンデを持つ人々に向け、理解や関心を持つ社員が多い印象です。これらかもドコモは人種や個性など隔てなく平等に暮らし、働けるようにダイバーシティの推進を通じて社会づくりに貢献していくことでしょう。今後の取り組みや情報発信に注目してみてはいかがでしょうか?