新型肺炎が与える日本経済への影響は?
架空のサイトです。画像は素材撮影者の著作物ですので安心しご利用ください。画面内のウイルス画像はストックフォト用に制作したCGです。
※本サイトを運営する目的はアフィリエイト、アドセンス、その他広告、取材費等としており、本記事は管理人が取材費をいただき記事を執筆しています。
 

中国で発生した新型コロナウイルスによる感染症は世界各地に広がり、いまだに感染者が増え続けている状況です。
この新型コロナウイルスは症状が出ていない場合でも感染能力があるため、このまま感染拡大が続くと伝染病の世界的流行「パンデミック」に陥る危険性も指摘されています。

発生源である中国の経済に及ぼす影響が危惧される中、あらゆる分野で中国に頼っている日本経済への影響はどの程度あるのかご紹介していきましょう。

新型コロナウイルスは収束時期が不透明

2002~2003年にかけて流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)は8,096人が感染し774人が死亡しました。
昨年末から発生した新型コロナウイルスは症状がなくても感染能力があることから、すでに3万人を超す感染者と600人を超す死亡者を出しており、最終的な感染者は20万人を超えるとする試算結果もあります。

WHOは「深刻な感染拡大の最中にある」との見解を示しており、未だに収束する気配が見えません。

日本経済に及ぼす影響は?

・発生源が中国湖北省であることが大きい
今回の新型コロナウイルスの発生源とされている中国湖北省はフラッシュメモリや半導体といった電子通信関連、医療機器や生物医学といった製薬、パーツやコンポーネントといった自動車の3分野について世界クラスの産業が盛んです。

しかも武漢市はストレージ、サイバーセキュリティ、電気自動車(EV)・コネクテッドカー、航空宇宙という中国の4つの産業拠点の中心地でした。

ところが新型コロナウイルスの発生により全拠点は操業を停止しており、稼働再開は未定です。
このまま生産停止が続くと中国の経済に大きく影響するばかりか、全世界にも波及すると考えられます。

・日本でのインバウンド消費に影響
近年日本を訪れる外国人観光客が急増し、インバウンド消費が拡大しています。
2018年には外国人観光客数が年間3,000万人を超え、過去最高記録となりました。
好調だったインバウンド消費を支えているのが中国や韓国といった東アジアからの旅行者で、全体の7割を占めていましたが、新型コロナウイルスの影響により中国からの観光客が減少し、インバウンド消費に影響が出始めています。

中国人観光客の3割、年間288万人が団体旅行ツアーを利用していましたが、現在中国政府は海外への団体旅行を禁止しています。
個人旅行者であっても日本への観光は難しくなり、インバウンド消費の減少は避けられないと考えられます。

・具体的にはどんな産業に影響するのか
「インバウンド消費が減少する=観光業界だけに打撃」とならないのは、中国人観光客の観光の仕方に特徴があるからです。
いわゆる「爆買い」を目的に日本を訪れる中国人観光客は多く、家電や医薬品、化粧品や宝飾品などあらゆるものを大量購入するので影響を受ける業種はどうしても幅広くなってしまいます。

消費増税による国内消費の冷え込みをインバウンド消費で切り抜けようと、爆買いをする中国人観光客に対応を特化した企業などは大打撃を受けることになると予想されます。

・日常生活にも影響が出始めている
工場拠点や販売経路があるなど経済において中国と密に接する日本は中国に続いて感染者数が多く、今後感染拡大が続いても交流を遮断することは難しいと考えられます。
新型コロナウイルスが飛沫感染、接触感染すると明らかになってから国内ではマスクやアルコール消毒グッズの不足が深刻になっていますが、中国に生産工場を持つ企業が多くあることも一因です。

こうした日用品のほか、食品や家電、自動車といったあらゆる分野で中国に依存する日本は、新型コロナウイルスの感染拡大が長引くことで日常生活にも影響を及ぼすことが容易に想像できます。

世界経済への影響は?

過去にパンデミックや大規模な災害が起きた時、リスク回避の動きから一時的に調整する株式市場ですが、企業業績に影響が出る前には収まり、すぐに回復する傾向にありました。
これは感染症や災害などは一過性のものであり景気の変調をもたらすまでには至らないといった判断からくるもので、逆に買いのチャンスと考える投資家もいるほどです。

実際、中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)などが蔓延した時も株式市場は半年ほどで回復しました。

しかし、今回の新型コロナウイルスは過去に類を見ないほど感染拡大のペースが速く、金融危機をもたらす想定外の事態になる可能性を指摘する声もあります。
名目GDP成長率を6%程度に維持する中国は個人の消費意欲も高く、観光や爆買いの恩恵を受ける国も多くありましたが、中国人観光客の減少により2020年は世界的に大きく落ち込む可能性が高いです。

収束してからの影響の方が大きい?

感染が確認されてからまだ日の浅い新型コロナウイルスは解明されていないことも多い未知のウイルスで、感染経路についても今のところは飛沫感染と接触感染のみとされていますが、空気感染に似たエアロゾル感染の可能性も出てくるなど予断を許さない状況です。

これから順調に収束に向かったとしても落ち着くのは4~5月と言われており、それまで中国湖北省の生産拠点が機能しなければ間違いなく中国の景気は減退し、世界中があらゆる分野で供給不足に陥ることは避けられません。

日常生活はもとより金融市場にも大きな影響をもたらすと予測できます。
日本で株価が暴落してしまうと国の運営にも影響を及ぼす危険がありますが、同じような状況にある国は世界中にあり、心づもりが必要になるかもしれません。

求められるリスクマネジメント

今回の新型コロナウイルスの発生と急速な感染拡大は世界クラスの産業が盛んな産業拠点の中心地で起きたことが大きく影響しています。
しかも、湖北省武漢市は漢江と長江の合流地点で上海と重慶の中間に位置し、地理的に見ても中国の交通の中心地となっていました。

多くの人や物が行き来するこの地で感染症が発生してしまえば爆発的な感染拡大は避けられません。
ならばそういった場所に拠点を置いた企業は諦めなければならないのかと言えばそうとも限りません。
湖北省以外の中国国内に拠点を構えていたり、中国以外の海外にも拠点を分散している企業については新型コロナウイルスによる影響を受けずに通常稼働しているところもあります。

また、感染症が発生した時期も大きいと考えられます。
中国では春節(旧正月)を最も大切な祝日としており、中国全土で春節休みを1週間ほど取る風習があります。
2020年は1月25日が春節となるため、前日の1月24~1月30日までの予定でした。

そのため、中国に拠点を置く企業は春節休みと休み明けの出荷に備えて在庫の確保に動いており、今のところ支障は出ていない企業も多いようです。
しかし、感染拡大が収束するまではまだ時間がかかるとされており、今のうちに生産体制などを見直す必要がありそうです。

世界経済への影響が危惧される新型コロナウイルスの感染拡大ですが、日本に限って言えば7月に開催される東京オリンピック・パラリンピック開催への影響が懸念されます。
4~5月には感染拡大が収束するとされていますが、日本での感染状況が深刻になった場合、海外からの旅行者数にも影響が出る可能性があります。

今のところ東京オリンピック・パラリンピックは通常通り開催すると国際オリンピック委員会(IOC)は表明していますが、果たしてどれだけの外国人旅行者が訪れるのか、楽観視するのは非常に危険だと言えるでしょう。