今年はフジロックもサマソニも延期…日本の音楽とライブは今後どうなる?
※本サイトを運営する目的はアフィリエイト、アドセンス、その他広告、取材費等としており、本記事は管理人が取材費をいただき記事を執筆しています。
 

新型コロナウイルスの影響によって多くの事業が継続できない問題に直面しました。

中でもその先駆者となってしまったのが音楽業界です。

ライブハウスやコンサートの運営が自粛要請によりできなくなってしまった最中、関係者は一体どうやって困難を乗り切ってきたのでしょうか?

そして日本を代表する一大音楽イベントであるフジロックやサマソニが延期となった今、日本の音楽やライブは今後どうなっていくのでしょうか?

今回は日本のコロナ禍によって影響を受けた音楽業界と求められる音楽業界の未来の姿をご紹介していきます。

自粛生活を余儀なくされた日本で打撃を受ける音楽業界

 

2020年に蔓延した新型コロナウイルスは多くの感染者を生み出しました。

日を追うごとに増えていく感染者の拡大を止めようと、政府や行政機関はライブハウスに自粛の要請を行ったのが音楽業界の市場を一辺させる始まりです。一般社団法人 日本音楽制作者連盟理事長の野村達矢氏いわく、音楽業界がコロナウイルスの影響を最初に感じたのは20202月の中旬くらいとのことです。

大阪のライブハウスにて感染者が現れ、そのライブハウスの中でクラスターと呼ばれる集団感染が起こったことにより、世間からはライブハウスは感染者を増やすため行ってはならない場所だと認知されてしまったのです。

密となるクラスターを起こす場所は他にもたくさんあります。電車やバスといった公共交通機関に飲食店に買い物施設といった場所もあったのですが、これらは多くの人に必要とされているだけあり、ライブハウスへの非難が多く寄せられてしまいました。

これにより226日の首相会見にて大規模イベントに対する自粛の要請が告げられました。首相は大規模イベントの中止といったものの、音楽業界は中規模や小規模といったどの場所もライブハウスのクラスターの影響からか自粛の決断をする人が多かったのです。

そんな中で2月下旬に人気アーティストが国際フォーラムにてライブを行うことがありました。

本来ならば多くのファンの歓声の言葉があるものの、この時ばかりは大多数から非難があったとのことです。その非難は主催するプロダクションやイベンターだけではなく、アーティスト本人たちの元へとも行きました。このネット上で非難される現象は、他の多くのアーティストも不安に陥れたのです。

これまでであればアーティストの周りにいるスタッフやプロダクションが守る形は取れてきました。しかし、昨今はSNSを通してアーティストとファンだけではなく様々な人がつながれる世の中になっています。こうしたこともあって音楽業界はかつてない大打撃を受けてしまったのです。

コロナで失った音楽業界のお金について

 

音楽業界の中でもライブ・エンターテインメント市場はコロナの影響を受ける以前は非常に成長をしていた分野になります。昨今は年間6千億弱くらいの市場があり、ひと月に換算すると約500億弱でした。

しかしコロナ禍が始まってからは日本音楽制作者連、日本音楽事業者協会、コンサートプロモーターズ協会(ACPC)の調べでは3月時点で450億の売り上げ損失となったそうです。自粛要請が出た2月から3月の1ヶ月で、450億の損失、つまり1ヶ月分の売り上げが損失となって出てしまったのです。

その理由には、コンサートツアーの制作やライブハウスを営業できなくなった他にも、中止となった会場のキャンセル料にチケット払い戻しの手数料も生じたからとされています。こうしたステージに制作に関わる費用の多くが単純に売り上げをゼロにしただけではなく1月分ほどの売上高の損失を生じさせることになりました。

野村達矢氏が把握しているだけでも3月のみのコンサートやライブの延期や中止は1550本に及ぶと言います。

その上延長となった自粛期間の影響によって音制連と音事協、ACPC3団体は、317日に国会を訪れライブ・エンターテインメント業界の実情を伝えにいったこともあったのです。補償を訴えかけたものの、政府の見解は「補償なし」に終わり、その時はアーティストだけではなく、多くの音楽制作陣が悲しい思いでいっぱいになったと言います。

しかし、収入が得られないのであれば生活もままならない状況です。

そこでライブ・エンターテインメント業界は様々な対策を打っていきました。

音楽業界がコロナ禍で行った対応とは?

コロナ禍によって音楽業界がまず打った手というのは無観客ライブです。

会場には歌やダンスを披露するアーティストのみで観客は一切いません。

観客はいないもののライブ会場の演出もあってか雰囲気は実際にライブを見ているかのような気分になり、自粛期間中の多くの人の救いになったのです。

しかしながら感染が広がると共に今度はステイホームが求められるようになりました。

そのため、ライブハウスには観客のみならずアーティストやスタッフすらも集めることができなくなったのです。

そこで今度はアーティストが自宅から生歌を披露する形に変わっていきました。

音楽番組でもそのようにして対処することが多くなり、その頃から自宅からメディア配信を行うのに見慣れてきた人も多かったことでしょう。

こうして危機を乗り越えてきた音楽業界ですが、自粛解除となった今でも感染者は一向に減る姿を見せていません。

withコロナとなった日本ではフジロックやサマソニといった日本の音楽の一大イベントも延期になりました。

いったい今後の音楽業界はどうなっていくのでしょうか?

日本の音楽業界の今後の課題

野村達矢氏は今後の音楽業界の課題としてオンライン上で音楽提供を行う他、一人でも感染者を増やさないようにライブ・エンターテインメントを提供する必要があると唱えています。三密を軽減するような形をどう工夫して行っていくか、そしてソーシャルディスタンスを取り、換気をしっかりするといったように、会場でのライブを復活させるためには環境という土台から整えていかなければいけません。

日本ではライブ会場としても使用される多くのホールでは換気の基準が非常に高く設定されてはいます。しかし、スタンディングで密集してしまうようなライブでもそうなるとは限りません。

そのため野村達矢氏はスタンディングになるクラブやライブハウスは相当気を付けていかなければならないと考えています。ライブ中はマスクやフェイスシールドの着用を義務付け、環境整備に加え観客1人ひとりもコロナから自信を守る観点も必要だと述べています。

また、ライブ会場で感染拡大を広げないためのガイドラインも作り上げる必要があると言っています。

そして行政や専門家が理想だと唱える数字と、ライブのプロデュースに携わる人が必要だと言う数字がかけ離れている問題もどうにかしていく必要があります。2000人キャパの会場にて200人までといった入場制限を行ったとしても採算はあいません。それが1000人に増えたとしてもです。

ソーシャルディスタンスがいかに大きな影響を与えるかを政府や専門家には知ってもらい三密を避けるよりも感染者を中に入れないことが、音楽業界が生き残るために必要となってくるでしょう。そのため、野村達矢氏は医学的な検査や検疫を含めた話を今後も続けるべきだと言っています。

音楽業界はコロナによって大きなダメージを受けました。しかし自粛生活が続いたことで家でも楽しめるコンテンツが増えてきました。そして最近はコロナによってあまり話題に挙がらなかった5Gのテクノロジーも魅力的です。

オンライン上でアーティストライブを配信しながら5Gができるテクノロジーを活かすことによって、さらに素晴らしいライブを自宅にいながらも見られるような時代になっていくことでしょう。フジロックやサマソニといった大型イベントの延期により、自粛要請の時と同様にその他の音楽イベントも多く延期や中止になってきています。

しかし、オンラインが定着することで逆に生の価値がさらに表れてくるのではないかとも言われています。アーティストや音楽に関わる人は、生ライブの魅力をもっと高めていくことがライブ・エンターテインメント市場の回復につながってくるのではないでしょうか?