日本大学事業の役員/売上/理事長との関係/事業内容/活動を大解剖!

教職員を合わせると10万人を超える学生数を誇る日本大学ですが、その規模の大きさを収益につなげようと学校法人日本大学が100%出資し設立されたのが「株式会社日本大学事業部」です。

これまで外部へ発注していた福利厚生面を事業化することによって得られる収益を日本大学に還元することを目的としています。 今回は日本大学事業部について、事業内容や売り上げ、理事長との関係性や事業内容などをご紹介します。

売上は?

2010年に日本大学が100%出資し、すべての株式を保有する日本大学事業部は従業員数30名あまりの小規模企業で、売上も設立当初は数億円程度でした。 ところが2014年あたりから右肩上がりに売上を伸ばしています

近年の売上
  • 2013年12月期:7億8千万円
  • 2014年12月期:約13億円
  • 2016年:約44億円
  • 2017年:69億円
ただし、利益率は非常に低く、2017年の決算では約5,400万円程度と1%以下に留まりました。 これは日本大学事業部が「学内の福利厚生面を事業化することによって得られる収益を日本大学に還元すること」を目的として設立されたためで、日本大学へ毎年約3~4億円程度の寄付を行っているからです。

役員は?

日本大学事業部の代表取締役は日大工学部長の出村克宣教授が務めています。 役員には日本大学の学長である大塚吉兵衛氏、財務・財務一元化推進担当を務める井出達夫氏、管財・日本大学事業部連携推進担当を務める大里裕之氏など、日本大学の常務理事が名を連ねています。

役員の一人である大塚吉兵衛氏は1969年に日本大学歯学部歯学科を卒業後、1973年に日本大学院歯学研究科歯学基礎系を修了した歯学博士です。

大塚吉兵衛氏のご経歴
  • 1979年 助教授に着任
  • 1993年 教授および歯学部長と日本大学大学院歯学研究科長を歴任
  • 2004年 理事を務め、その後副総長を経る
  • 2011年 学長に就任、現在に至る

大塚吉兵衛氏は日大関連以外でも、社団法人日本私立大学連盟常務理事や財団法人森田奨学育英会理事、特定非営利活動法人JAFSAの理事や硬組織再生生物学会理事長、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会評議員や関東大学ラグビーフットボール連盟会長などを務めています。

ジャンルを超えて幅広く活躍し、人脈もある大塚吉兵衛氏が日本大学事業部の役員を務めるのは自然な流れといえるでしょう。

役員報酬について

役員報酬についてですが、役員1人あたり100万円としているようです。これは1年間で受け取る金額であり、月に換算すると8万円程度の金額です。

実際に日本大学の大塚吉兵衛氏も記者会見で、関連会社の役員報酬について100万円くらいと明かす場面があり、この金額は上場企業と比較しても高い金額とはならないでしょう。

理事長との関係性は?

2008年より日本大学の理事長を務める田中英壽氏ですが、実は日本大学事業部を立ち上げた人物でもあります。 田中英壽氏が理事長に就任した直後の2009年7月には日本大学事業部の開設準備室を設置し、出身の青森・東奥日報での対談で

大学の経営を預かる立場として、スリム化し機動性のある組織にしていきたい

と大学内での起業に対する情熱を語っていました。 その情熱は現実のものとなり、開設準備室設置からわずか半年あまりの2010年1月に日本大学事業部を設立し、赤字転落することなく順調に業績を伸ばし続けます。

設立から7年ほどで売上は9倍近くも急伸し、同じように大学内に子会社を持つ早稲田・慶應・明治大学とは大きく差をつけています。

田中英壽氏は1969年に日本大学経済学部経済学科を卒業し、農獣医学部に勤務。 1973年からは保健体育事務局に勤務し、26年を経て日本大学理事に就任しています。その後数々の輝かしいご経歴を持っています。整理してみました。

田中英壽氏のご経歴
  • 1999年 日本大学理事
  • 2000年 保健体育事務局長
  • 2001年 校友会本部事務局長・本部長・副会長
  • 2002年 日本大学常務理事
  • 2005年 校友会会長
  • 2008年 日本大学理事長
田中英壽氏は日大関連以外でも公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)副会長や国際相撲連盟会長、公益財団法人日本相撲連盟副会長を歴任するなど、活躍の場を広げています。

事業内容は?

日大事業部とも呼ばれる株式会社日本大学事業部の主な事業内容は、保険代理店事業・学生生活支援事業・人財サービス事業の3つです。

保険代理店事業

日本大学の学生や教職員に向けた保険商品を提供しています。 自動車保険や火災保険、海外旅行保険や海外留学保険といった一般的な保険商品はもちろん、日本大学と保険会社が共同で企画した日本大学学生生徒等総合保障制度の取り扱いがあります。

教職員を合わせると10万人を超える学生数を誇る日本大学ならではの制度で、個人で保険に加入するよりもかなり安く補償を受けられるのが特徴です。 インターンシップ中の損害賠償責任も補償される個人賠償責任補償や、地震や噴火とこれらによる津波によるケガや熱中症も補償の対象になり、多角的に学生生活をサポートしてくれる補償内容となっています。

学生生徒本人のケガや事故だけでなく、扶養者に万が一の際の学資費用の保証、法的トラブルに遭った場合の弁護士費用の補償など充実した補償でありながら、安く提供できるのは日本大学事業部の企業努力といえるでしょう。

学生生活支援事業

卒業式で着用する袴など、普段馴染みのないものは用意の仕方がわからないという学生生徒も少なくないでしょう。 日本大学事業部では企業と提携し、卒業式用の貸衣装の展示予約会を学内で行っています。

複数企業に声をかけ、学部ごとに細かく日時を振り分けることで特別な日の装いをしっかり選べるように配慮しています。 また、自動車の免許取得を検討している学生生徒に向けて全国の教習所を案内や、短期間で取得可能な合宿免許の予約申し込みのサポートも行っています。

人財サービス事業

日本大学の規模の大きさやネットワークの広さを活かした人材派遣事業では人を“財産”と捉え、大学OBや関連企業と連携して幅広い分野でサービスを展開しています。

学内にも活躍の場がたくさんあるため、教育機関でのキャリアアップを希望する人にはうってつけです。

活動内容は?

  2010年に設立された日本大学事業部ですが、当然ながら大学の職員は会社経営の経験はありません。 そこで社内を取り仕切り事業を展開させたのは日本大学アメフト部OBの井ノ口忠男氏でした。 井ノ口忠男氏はフェニックスの愛称で親しまれた日大アメフト部のキャプテンを務め、甲子園ボウルに出場した際には最優秀選手として受賞経験もある人物です。

大学卒業後は会社を立ち上げ、順調な経営を行っていたため日本大学事業部へ招かれ、事業の展開を任されます。 日本大学は学生の人数もさることながら点在するキャンパスや全国に展開している付属校など、敷地は広大です。

日本大学事業部の経営方針として、大学のスケールメリットを生かした事務の効率化とサービスの質の向上を掲げており、警備や清掃、緑地管理や施設設備のメンテナンス、食堂や購買の運営など、 これまでは外部へ発注していた環境の管理を事業として取り込むことで中間マージンなどの無駄を省き、利益を上げてきました。

他にもオリジナルグッズの企画・販売や自動販売機の設置管理、教育用・事務用機器の販売やリースなど、自身も会社を経営する井ノ口忠男氏がその経営手腕を発揮し、精力的に活動を行い目覚ましい業績を上げています。

★大解剖の重要ポイント

今回は日本大学事業部について、事業内容や売り上げ、理事長との関係性や事業内容などをご紹介しました。 以下重要ポイントをまとめてみました。  

大解剖の重要ポイント
  1. 日本大学事業部の創設は「大学の経営を預かる立場として、スリム化し機動性のある組織にしていきたい」という田中英壽氏の情熱がきっかけ。
  2. 日本大学を包括的に支援する事業で設立から7年ほどで9倍の売上を記録した。
  3. 利益率は低く、得られる収益を日本大学に還元しており、さらなる発展を支えている。