堺野さんと考えたいマタハラ 社会人が余裕を持てば問題は解決するとの声も
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皆さんは「マタハラ」についてご存知ですか?
マタハラとはマタニティハラスメントの略で、女性が経験する妊娠や出産をきっかけに嫌がらせや不利な扱いを受けることを言います。

このマタハラが、現在セクハラとパワハラに続いて問題となっています。
セクハラよりも多くの女性がマタハラの被害を受けていますが、妊娠中と出産後の不安定な時期や子育てという忙しい時期と重なるため、泣き寝入りをする方が多く、表面化しにくいのが現状です。

5人に1人という高い割合の被害経験があるため、深刻な社会課題と言えます。
なぜマタハラが、今になって問題になっているのでしょうか?
それは堺野今日子さんが、SNSで会社内と電車内のマタハラを告発したことが挙げられます。

今回は、堺野さんの事例と共にマタハラについて考えていきましょう。

マタハラが問題になったきっかけは堺野今日子さんの心境を綴った内容

株式会社bitgritの人事部長を担当している堺野今日子さんが、マタハラを受けたとニュースやSNSで告発し話題になりました。
主に妊婦さんが被害を受けていて、電車や会社内でのマタハラ被害が多発しています。
堺野さんも被害を受けた当事者の一人です。
堺野さんは、マタハラを受けた時の気持ちをSNSで綴っています。

つわりで吐き気や貧血が酷いため、普段からマタニティーマークを持ち歩いている堺野さんは電車内で女性から席を譲ってもらったが、50代くらいの男性が割り込んできて「文句あるのか」と罵声を浴びせられたそうです。
その時の状況と気持ちをSNSで呟くと、同じような経験をした女性たちからたくさんの共感を呼びました。

席を譲ってもらえなかった他に、妊婦を邪魔者扱いにしたり杖で足を叩かれたりと暴力を受ける方もいたそうです。
マタニティーマークは、元々厚生労働省が妊娠や出産に関する安全と快適の確保を目指して制定されたマークです。
妊娠初期はお腹が出ていないため外見で妊婦だと分かりにくい点に加え、肉体的な苦痛が大きいことから周囲に知らせるツールとして発表されました。

電車やバスなどの公共交通機関では優先席付近の窓ガラスに貼られていることが多く、誰もが目にしたことあるはずです。
しかし現在では、マタニティーマークを付けることにより不快な思いをしたという事例が増えています。
ある調査でマタニティーマークを付けていて不快な思いや身の危険を感じたことがあると答えた人は、約10人に一人と多くの女性が経験しています。

このことからマタニティーマークを付けられないという意見が、堺野さんの元に多く寄せられたそうです。

マタハラの解決にはどうしたらいいのか

なぜ妊婦の安全を守るためのマークが、世間から怪訝されているのでしょうか?
ここでは世間に怪訝される理由を挙げていきます。

上司が専業主婦時代に就職している

マタハラが起こる場所が会社の場合、上司や管理職の人々が専業主婦世代だからという点が挙げられます。
現在は共働きが当たり前の時代になってきていますが、管理職に就く人たちが全盛期だった頃は妻が専業主婦という方が多いのです。
女性は結婚したら家庭に入るものだという認識が強い傾向にあるため、妊娠が分かったら用無しと捉える方もいます。

また、妊娠中のつわりなどで業務効率が落ちることも挙げられます。
出産後は子供の病気で会社を休む場合も出てくるため、仕事を任せられないと認識されるのです。

妊娠や出産の経験がない人や経験した時代が違う

バスや電車など公共の場で言われるマタハラの場合は妊娠を経験したことのない人、もしくは経験した時が今の時代と違う人が挙げられます。
子育ては時代に沿って変わっていきますが、昔自分が経験した時に比べると優遇を求めているように感じてしまう年配の女性は多くいます。

そのため嫉妬心が生まれ「今の時代の女性は」と、暴言を吐くのです。
また、性別年齢問わずに妊娠を経験したことがない方も、暴言を吐く人が多いです。

これらを解決するためには、世の中全体で妊娠中の苦痛や育休中の苦悩を考えていかなければなりません。
現在は様々な団体が、学校や施設を巡りマタニティセミナーと称して妊婦体験ができるようになってきました。
これを学校だけでなく会社でも取り入れると、より理解が深まるのではないでしょうか?

マタハラの被害事例

堺野さん以外にも、マタハラを受けた女性は多く存在します。
電車やバスでの交通機関の他に、会社でマタハラを受けた事例も少なくありません。
現在は女性が働く機会が増えてきていますが、職を手にした方でも妊娠を上司に報告したら勤務態度が悪いという理由で解雇通知をされることがあります。

他にも同僚から妊娠のせいで自分の仕事が増えたと罵声を浴びせられたり、妊娠報告直後に組織改正をしたりと様々です。
妊娠中に限らず育休制度を使っている方は、復帰の相談の度に辞めてほしいと言われたり契約更新できないと理不尽に迫られたりすることが多いようです。

マタハラは妊婦だけでなく、出産して母になった女性も被害を受けています。

マタハラはなぜなくならないのか

マタハラの被害は、なぜ年々増え続けているのでしょうか?
ここでは、マタハラがなくならない理由と考えられる点を挙げていきます。

弱い立場と分かっている

マタハラでの嫌がらせは、妊婦や女性という弱い立場だと分かった上で行われていることが多いです。
強く言い返すと自分の身に危険が及ぶと考えると、怖くて何もできなくなる妊婦はたくさんいます。
何も言えないことを分かっているので、平気な顔で嫌がらせができるのではないかと考えられます。

また妊娠できない人からしてみると、妊婦は嫉妬の対象になりやすいです。
嫉妬の対象を攻撃することで、自分の優越感を満たしていることも考えられます。

周りに気を配る余裕がない

電車内やバス内は、通勤通学の時間帯に椅子に座ろうとする人で溢れています。
始発では走って駆け込み席を確保したり、隣に座られたくないからと荷物を置いたりする人が多く見られます。
そんな周りに気を配る余裕がない人が妊婦をアピールするマタニティーマークを見ると癇癪を起こし、暴言を吐いたり暴力をふるったりするのでしょう。

見て見ぬふりをする人が絶えない

日本には、空気を読むことを重要視する文化があります。
察しが速いのは日本人の利点でもありますが、時には弱点になります。
この文化が見て見ぬふりをする人たちを生み、助け合いの精神を欠かすことにつながっているのかもしれません。

現在の日本で、再び子供を産みたいと感じる方は少ないです。
その理由は、嫌がらせや会社内での差別などのマタハラが原因とされています。
このことから、出生率が年々減少していく点も深く頷けるでしょう。
社会人が心にゆとりを持てば、このマタハラ問題は解決するのではないかと考えられます。

電車やバスで妊婦が嫌がらせを受けている時は、注意するのも良いですが妊婦に危害が及ぶ可能性もあります。
それを考えて、嫌がらせをしている人を注意せずに自ら妊婦に席を譲るようにしましょう。
また近頃では、逆マタニティーマークと呼ばれるものがあります。

助けたいけど勇気がないという人は、さりげなく逆マタニティーマークを付けておくと妊婦から声をかけやすくなります。
こういったマタニティの教育やツールを活用する機会を設けていけば、少しでも妊婦や育児休暇を取っている母親の理解が深まり、マタハラを防げるのではないでしょうか?