働き方が多様化している現代社会において、多くの企業が「次世代リーダーの成長が見られない」という大きな問題を抱えています。
時代に合わせて組織や戦略を変えていったとしても、成果が出ず人材への悩みを持っている企業も多いです。
なぜ、現代社会において優秀な次世代リーダーが育たない状況になっているのでしょうか?
今回は、日本企業の約半数が抱える「次世代リーダーが育ちにくい問題」の原因・解決法について迫っていきます。
Contents
価値観の食い違いが大きな原因
次世代リーダーとは、企業の将来を担う次なる経営者(幹部候補)のことを指します。
企業によって次世代リーダー育成のためにリーダーシップ研修や経営教育など様々な対策を取っていますが、なぜ上手く結果につながらないのでしょうか?
次世代リーダーが育たない理由について解説していきましょう。
社員同士の信頼関係が築けていない
人材が育たない企業では、社員同士のコミュニケーションが不十分で信頼関係が築けていない問題を抱えている場合が多いです。
従来は終身雇用が一般的でしたが、現代では自分に合った仕事を見つけたいと転職する方も多く見られます。
採用されて時間が経たないうちに転職する人が多く、社員が定着していないことも信頼関係を築きづらい要因だと考えられるでしょう。
一人ひとりに能力を求めすぎている
少子化や働き方の多様化によって企業が慢性的な人材不足に陥っている場合、必然的に社員一人ひとりへ任される仕事量や求められる能力が多くなります。
人材不足になっても仕事内容や目標は変わらないため、全て個人の働きに委ねてしまうケースがほとんどです。
経営側から見ると求めているレベルに達する社員がいないと思いがちですが、そもそも人材が育つような余裕のある環境でない場合も多いのです。
実際に現場で働いている社員と経営陣の間で生まれた価値観の食い違いが、人材の育ちにくい環境を作り出しています。
自主性を発揮しづらい環境になっている
次世代リーダーに任せられるような人材がいないからといって、いつまでも上の人間が企業の権限を握っていては社員のリーダーシップは育ちません。
経営陣が決めたルールの中で働くことしかできない環境で、個人の自主性を出す機会はほとんどないでしょう。
自分で考えて行動する機会がなければ、人の上に立って仲間と共に試行錯誤しながら成長していく経験ができないのです。
次世代リーダーが育ちやすい企業とは?
多くの企業が人材育成に頭を抱える中、次世代リーダーを上手く生み出している企業もあります。
ここでは、次世代リーダーが育ちやすい企業の持つ特徴や取り組みについて見ていきましょう。
新しいチャレンジをさせる
次世代リーダーが育ちやすい企業では、ルールに縛られ過ぎることなく社員一人ひとりの自主性を重視していることも多いです。
新しい事業へのチャレンジは大きなパワーが必要になりますが、その分多くの成長も得られます。
自発的に動く能力や仲間と共に目標に向かうモチベーション、成功した時の達成感など、優れた人材を生み出すための要素が多く含まれているのです。
成功体験を積み重ねることで仕事への自信がつき、さらなる高みを目指したいという意欲も生まれてくるでしょう。
自分で考えて行動することこそが、社員を大きく成長させる重要なポイントなのです。
配置転換で順応性を高める
経営者として企業を動かす人材は、企業の全体像や事業内容について熟知しておく必要があります。
適切な配置転換を行うことで外から見ているだけでは全貌が掴めなかったことが分かり、各部署における課題点も見えてくるでしょう。
また、部署が変われば関わる人も変わるので、部署に応じた柔軟なリーダーシップ能力が培われます。
配置転換は企業の全体像を掴むだけでなく、社員の順応性を高める効果が期待できます。
部下を持つ機会を与える
最初から大きなプロジェクトを任せたり新しい事業を任せたりするのは、失敗するのではないかと不安に感じる企業も多いでしょう。
社員としても、まだ経験が浅い中で責任の大きい仕事を担うのは荷が重いと感じてしまうケースが多いです。
まずは少ない人数でも良いので部下を付け、人の上に立たせて責任感を育てることが効果的です。
人は経験がなく分からないことに対して不安や苦手意識を持ちやすいので、早いうちから経験をしておけばいざ部下を持つようになった時に安心できます。
段々と部下の人数を増やしていけば、経験を活かしながら大きな仕事や多くの人を動かす能力が身に付いていくでしょう。
次世代リーダーの育成にはコミュニケーションも重要
価値観の違いや社員一人ひとりの能力を把握するためには、お互いがどのようなことを考えて仕事に取り組んでいるのかを知る必要があります。
次世代リーダーを育成する時には、円滑なコミュニケーションによる信頼関係の構築が重要です。
しかし、現代の日本企業では最前線で働きながら部署の管理も行う「プレイングマネージャー」が多く、コミュニケーションを取りずらいのが現状です。
また、仕事におけるコミュニケーションは一方的になりがちで、部下の声を聞けていないことも問題点として挙げられます。
日本は世界的に見て上司の話す時間が長く、対話型のコミュニケーションを苦手としています。
上司が聞き役となって部下の考えを引き出すことが、円滑なコミュニケーションにつながるのです。
次世代リーダーの育成に効果的な、コミュニケーションのポイントについて解説しましょう。
自分の話よりも質問を増やす
上司は部下を育てる・教える立場なので、自然と部下の話よりも自分が話している割合の方が多くなってしまいがちです。
その中で多く見られるのが、部下がミスをしてしまった時に責め立てるように一方的な会話をしてしまうケースです。
ミスが起こった時に責め立てられると、部下は委縮してしまい余計コミュニケーションが取りづらくなります。
どうしてミスをしたのかと詰問するのではなく、ミスが起こったことについてどのような理由が考えられるのかを質問し一緒に考えるのです。
また、質問をする時には部下が委縮せずに話しやすい雰囲気を作ることも大切なポイントです。
表情や声のトーンに穏やかにするよう気を付ければ、部下から話しやすい状態となりコミュニケーションが円滑になるでしょう。
少しでも部下としっかり話す時間を設ける
部下と話すタイミングは、指示を出す時や質問された時、何かを教える時だけという上司も多いでしょう。
しかし、会話が少なくなるにつれてコミュニケーションが取りづらく気軽に離せない雰囲気になってしまいます。
1日のうち30分だけでも部下と話をするだけの時間を取るようにすると、コミュニケーションが取れて信頼関係を築けます。
30分間の中では、仕事がどうなっているのかを聞くのでなく、部下の考えや悩みなどについて聞くと効果的です。
話をしていくうちに信頼関係が築ければお互いの考えていることが分かるようになり、仕事も進めやすくなって上司・部下両方の自信にもつながります。
忙しい中でも時間を割いて向き合うことは、次世代リーダーを育てる上で重要な役割を持っているのです。
現代の日本企業で次世代リーダーが育たないのは、経営側と社員の間に大きな価値観の食い違いが生まれていることが原因となっています。
優秀な次世代リーダーを育てるためには、リーダーシップを育てる経験を積む機会を与えて円滑なコミュニケーションの方法を身に付けることが重要だと言えるでしょう。