全米企業が「Amazonを敵視」している…訳じゃない?!Amazonが抱える課題と他企業がとるべき対策とは?
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大手ネット通販サイトのAmazonは、品揃えがとても豊富で欲しいと思えばその場ですぐに商品を購入できることから多くの人に利用されています。
また、希望小売価格よりも大幅に値引きされた商品や中古の商品も顧客のニーズに合わせて販売されています。
そのため、実店舗で買うという機会が少なくなってきているという人もいるでしょう。

現に米国では小売業者の半分以上に当たる71%が、Amazonを商売敵だと考えていることが500社から取った調査データから報告されています。
しかし、一方でこの残りの29%の業者はAmazonに対して特に不安を持っていないという結果も分かっています。
今回は、米国企業の全てがAmazonを敵視していないという理由についてご説明しましょう。

Amazonを含め大手の小売企業には独占禁止法の施行も考えられる

アメリカのムニューシン財務長官は「Amazonが米国の小売企業を破滅させている」と発言し、特定の企業を例に挙げなかったものの「ネット業界における独禁法違反について調査を行っていきたい」と述べました。
Amazonの売り上げは2018年、米国のEコマース市場の約半分を占め、小売を除く売上を含める総売上は2300億ドル以上にもなりました。

Eコマースとは、ネットショッピングやサービスの売買を行う際に使用する電子商取引のことを言います。
ここでポイントとなるものは、2300億ドル以上の売上全てが小売によるものだったとしても、米国の小売支出総額の中では約5%に満たないというところでしょう。
従って、Amazonが小売市場を独占しているという見解は間違っていると言えます。
しかし、AmazoはEコマース市場においての大手であり、現に多くの人は欲しいものがあった時にまず検索するサイトはAmazonでしょう。

Amazonではアカウント登録した数億人分のクレジットカード情報を管理しているところから、手軽に買い物を行える手順が揃っています。
利便性に長けていることから、多く人々から利用されているのです。
また、Amazonは他のEコマース企業と比較すると、大勢の顧客が存在します。

たくさんの顧客情報と販売商品を持ちながら常に適格な値段で売り、且つ提供スピードも速いAmazonは、どんなに歴史ある有名な小売企業であっても怖れるのは自然と考えられます。
加えて商品を提供するスピードの速さも小売企業を圧倒させる要因となり、小売企業の多くはスピードを保ちながら顧客のニーズに合った価格調整を行って売り上げを伸ばしていくことは困難であると言います。
さらに課題となるのがデータの質です。
小売企業の多くは、保有データの質が悪く、ネット通販とリアル店舗の価格についての調査を十分に行えていません。

このことを踏まえ、これからの時代はネット通販業界に独占禁止法の調査が入ることも十分予想されています。
対象となる一部の大手企業は対抗する姿勢を見せることもあるでしょう。
調査の結果で分かった29%の小売り業者は、Amazonに独占禁止法が施行されることも考えのうちにあるのかもしれません。

Amazonもかつては赤字であった

2013年10月24日、Amazonの財務報告によると大きな売り上げがあったが赤字で、しかし株価は新記録、という結果を出しいつもの四半期報告と同じであることが分かりました。
アメリカの大手小売業ターゲット・コーポレーションは2013年にカナダに進出するまで国内のみでしか営業していませんでした。

つまり、約720億ドルの売り上げはすべて国内のものということが伺えます。
2012年に約4680億ドルを売り上げ、競合各社を圧倒し続けている世界最大のスーパーマーケットチェーン、ウォルマートは、売り上げ総額の約70%が国内の売り上げでした。
Amazonの2012年の売り上げ総額のうちアメリカ国内では約57%で、約611億ドルのうちの344億ドルが国内だったことになります。

そのため、2012年の米国内の売り上げで総額から見て小売り企業と比較するとAmazonはトップ10にすら入っていません。
これはAmazonの弱みと考える人も少なくはないでしょう。
ただ、アメリカの小売り企業大手の中で、本当の意味でグローバルな企業はAmazoだけと言えます。
ウォルマートは、その後中国で店舗展開していきましたが一方で、中国の小売り市場ではその変化に対応することが困難であったためかいくつかの店舗を閉めています。

この理由は、中国においてもEコマースの人気が高まってきたことからと考えられるでしょう。
また、インドでウォルマートはたくさんの大型店舗を開店する計画を無期限で延期しました。
延期の理由は、商品のほとんどをを現地企業から購入しなければならないという規則があったこととされています。
このような大手小売企業の展開の伸び悩みに対して、Amazonはインドで成長しています。

Amazonジャパンは失敗すると考えられていた

設立当初のAmazonジャパンは、日本国内の特徴的なサービスを作る上で、まず始めに何をしたら良いのかという議論が交わされました。
やはり、Amazonの前進である書店を中心に行うのか、市場で人気の高まっているオークションなのか、またはそれ以外にないAmazoの新しいサービスを始めるのか様々な意見が挙げられました。

Amazonドット・コムは、オークション業界ではすでに「イーベイ」に遅れを取っていることから、日本での新サービスにはオークションをという計画もありました。
しかし、日本ではすでに「ヤフー!オークション」が流行っていて、その半年後にはイーベイが日本に進出してきたことで、また遅れをとってしまうと判断し、オークションは白紙撤回されたのです。
そして結局、Amazonジャパンは書店からの立ち上げとなりました。

Amazonジャパンが設立された当時の大手新聞を見てみると、立ち上げ前の段階で「Amazonジャパンは失敗するだろう」と予測する記事が多くあり、すでに楽天ブックスやbk1などのオンライン書店が数社存在していました。
失敗してしまうだろうと予測された理由は、設立のタイミングだけではなかったのです。
アメリカのAmazonドット・コムにおける成功要因は、商品の安さでした。

アメリカのAmazonブックスで販売されるほとんどの本はディスカウントの対象商品でしたが、日本の出版流通業界には、定価販売を義務づけた制度が組まれています。
そのため、アメリカのようにディスカウント販売は不可能であるため、Amazonの一番の魅力である「本を安く買う」ということができないことから、日本では成功が難しいと考えられていたのです。

また、大きな課題の一つに日本独自の出版事情が絡んでいます。
出版社と書店を繋ぐ「取次」という流通業者は、のAmazonジャパンにおいては頭を抱える存在でした。
日本では大手の取次と契約しなければ多くの種類の本を仕入れることが不可能です。
特に人気の高い本を仕入れるのには大手取次との取引することが重要でした。

当時、出版業界では大手の紀伊國屋書店や丸善はすでにオンラインストアを設立していました。
それになんとか追いつこうとしているAmazonジャパンには大手書店のブランド力や知名度がなく、実店舗がないことからEコマースのみ外資系書店と取引することは、取次業界においても手を出しにくいと考えられていました。

そんな中、Amazonジャパンと手を組むことを決めたのが取次業界3位の「大阪屋」でした。
大阪屋と取引を開始したことで、サイト内の商品を豊富に取り揃えることができたという以外にも、流通スピードの確率というメリットが得られました。
このことから、流通中の本であれば注文後に「2~3日で発送」、売れ筋本は「24時間以内に発送」ということが可能となったのです。

昨今Amazonでは本以外にも実店舗への進出をしており、その背景の一つには、Amazonの即時配達サービスを普及させる考えがあります。
Amazonと提携する小売業のが増えれば、即時配達をもっと普及させることが可能です。
その一方で、即日配達の普及を可能とするには配達員を大量に雇わなければならないという課題もあります。

Amazonは手軽なネットショッピングを可能にし、注文後すぐに商品が届くという利点から利用者は増え、膨大な売り上げを誇っています。
そのため、アメリカの過半数の小売業からは敵対視されているのも現状ですが、国側からの独占禁止法の施行も考えられていることから、一部の小売り企業からはそこまで商売敵にされていないというような見解ができます。

また、アマゾンの物流システムがよりスムーズに運用されるためには、実店舗への進出が増えてきたことから、運送会社のサービス展開などが今後の課題とされるでしょう。