みなさん、こんにちは。
突然ですが、スパイバーという会社はご存知でしょうか?
直近ですと、官民ファンドのクールジャパン機構から30億円、その他からも合わせると50億円もの出資が決定したことで話題となりました。
スパイバーとは慶応大学発のベンチャーで、クモの糸の遺伝子を基にしたたんぱく質の新素材を分子レベルで設計する技術を持つ会社です。クールジャパンがそのような素材ベンチャーに投資するのは初めてのことです。そんなスパイバーってどんなことをしているのか気になりますよね?
今回は、そのような方向けに、スパイバーの活動と今後の展開について記載していきたいと思います。
スパイバーの概要
まず、スパイバーの従業員数や会社設立の背景について軽く触れていきます。
会社概要
・設立:2017年9月
・代表:関山和秀
・社員数:186名(2018年4月時点)
・平均年齢:35歳
・資本金:約224億
・所在地:
[本社]山形県鶴岡市覚岸寺字水上234番地1
[プロトタイピングスタジオ] 山形県鶴岡市覚岸寺字水上240番地1
設立が2017年なので、最近の会社ですね。実は、冒頭でもお話した通り、慶應義塾大学から立ち上がった素材ベンチャーなんです。
代表の関山さんが大学院の研究でクモの糸の人工合成について研究されていたようで、修士課程終了時期に、クモの糸のようなものの生成に成功しております。
そのあと、バイオベンチャーのスパイバーで、産業的に量産する技術を確立されてます。そしてこの生成したクモ糸を「クモノス」と呼んでおります。
そもそも自然界で作られるタンパク質を、人工的に合成することは簡単ではございません。目的の生成物以外の副産物が生成されたり、温度や圧力、触媒など化学的な反応の条件を見つけるのが難しかったり。
それはタンパク質でできているクモの糸の人工合成も同様なんです。
また、生成されてもそれを大量に生産するのは更に困難と言われています。研究室レベルで生成するのと、企業レベルで生成するのとではわけが違うようですね。
しかし、関山さんは、2004年にクモの糸の研究をはじめ、2013年には大量生産の技術を確立しておりますので、約10年でこれを実現しております!とてもすごいことですね!
スパイバーの事業内容
さて、人工のクモ糸「クモノス」を生成したスパイバーですが、この素材を活かしてどのような事業を展開しているのでしょうか?
公式サイトにはこう記載されております。
”私たちは、普及した時のインパクトが計り知れないほどの巨大産業であるアパレル分野と 輸送機器分野にプライオリティをおき、事業化に向けた準備を進めています。さらにタンパク質素材の応用はこれらの分野のみならず、医療や建築、ロボットから宇宙まで、まさに無限大の可能性を持っています。私たちは各分野のプロフェッショナルとともに、研究開発、事業開発を加速させていきます。”
つまり、アパレル業界、輸送機器業界にまずは参入する意向を示しております。また、現在はまだクモノスを用いた試作段階であるため業界への参入はこれからといったところなんでしょう。冒頭で紹介したように、50億円の資金を調達してタイで量産工場を立ち上げるようですので、業界への大々的な参入はまさしくこれから!という感じですね!
事業についてはすでに、いくつかの情報を公開しております。
MOON PARKA
「クモノス」を用いたアウタージャケットを制作しております。試作段階ですが、実際の工場ラインで製造されております。つまり製造過程のプロセスでの最適な条件を見つけ出しております。
あの高級車Lexusのシート背部にも「クモノス」がすでに起用されております。
長時間の運転による疲労を軽減させる高い衝撃吸収性の機能が期待されてます。
何がすごいのか?
さて、クモの糸は何がすごいのでしょうか?
強くて軽い!!
これにつきると思います。
実際にクモの糸は鉄鋼の約5倍の強度があり、1センチの太さでクモの巣を作れば、ジェット機も止められるようです。
滑走路にクモの巣を張っておけば、飛行機事故を防止することができそうですね。
そして軽さは同じ強さの鉄鋼と比較しても6分の1ほどです。
また、ナイロンを上回るほどの伸縮性を持っているのも大きな特徴です。そのためクモの糸がしっかりと量産できれば、一般的に着用する衣類にも利用できますし、強度もあるので宇宙服にも利用できそうですね。あとは、強靭さと伸縮性の高さから、宇宙エレベーターにも活用できるのではないかと言われております。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、伸縮性があり、地球上で使用されているあらゆる素材よりも軽くて強い、そんな夢のような素材を開発しているスパイバー社を紹介しました。
この性質を活かして今後は、宇宙エレベーターや人工血管、手術糸といった、航空・宇宙事業や医療事業などの分野でも活躍していくかもしれません。
また、様々なファンドからの資金調達にも成功しており、これからもどんどん事業の手を広げていくことでしょう。
今後の活躍にも期待できる企業ですね!